考察や雑記。

Vtuberの変遷は映画の黎明期と共通する部分がある

今も黎明期であろうが、Vtuberの黎明期と映画の黎明期と共通する部分がある。表現や言語や認識など、幅広く研究をしていた在野の学者、三浦つとむの「芸術とはどういうものか」から引用しよう。(見やすいよう引用に切れ目を設けたが、原文自体に一切省略は…

「AIは人間になれるか?」という発想の源流を探る。

機械は誰かが作っている このことについて詳しく書かれている本がある。三浦つとむ著「文学・哲学・言語」は1973年発行の半世紀近く前の本だが、現在のAIに向けられる事々が端的に記述されている。歴史は繰り返されているのである。 完成された装置の動作は…

社会的ひきこもりと家事

「社会的ひきこもり」の定義 まずは定義を確認しておかなければならない。少し調べてみてわかったが、定義を正確に把握するのは、なかなか難しい、という印象を受ける。まずは厚生労働省の資料から引用する。 「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交…

戦争には反対しなければならない。

以下は2022年3月5日の日記。 戦争を反対する主張や反戦運動にたいしての嘲笑、揶揄、外野からの傍観と中立、核武装の正当化、改憲の主張を糧とするのが戦争の一つの側面だ。これは、戦争の本質を語っているわけでは全くないことに注意。戦争を語ることはとて…

自己肯定感と自尊心の違い

そもそもなぜ自己肯定するのか 肯定されている「感」を、自分で意識的に実感しなければならないということは、それだけ社会から否定されることが多い、ということである。社会が個人を否定しているというのに、終始自己だけの問題に留めるのは欺瞞だ。しかる…

雑感 なぜその発想が出てこないか?

">以下は2021年12月24日の私の日記。 "> 【詳しく】経口中絶薬 どんな薬?安全性と副作用は?費用は? NHKの社会ニュース一覧から。 「経口中絶薬」の承認の申請をイギリスの製薬会社が行いました。承認されれば国内で初めてで、手術を伴わない選択肢ができ…

そもそも「仮想」とはなにか

仮想空間には、現実の物質のあり方から抽象された空間や物体が電子的に反映されている。鑑賞者や体験者たちはそこに一つの世界が存在すると仮定して、この仮定を共有する。これを仮想という。仮想であるから、現実にその空間や物体そのものが存在するわけで…

哲学 自己分析をすると自己も「分裂」してしまうの?

自分を俯瞰的(ふかんてき)に分析するとき、「自分を分析している自分は一体誰なんだろう?」と、ふと疑問に思ったりしますよね。そのとき、本当に自分は分裂しているのでしょうか。 「私」が無限にさかのぼってしまうのか 「私」を俯瞰的に認識している「…

雑感 「結婚」とは何か

結婚による関係の変化 親密な関係にあった両者が結婚をすると、突如としてその関係から夫婦関係に入る。親密な関係の延長線上に結婚があるのではなく、到達として結婚があるのだ。その上、結婚をすると相手の家族達と、これまた突如として身内関係に入る。突…

ヘーゲルと熱運動

本格的に寒くなってきた。こうなると、おしるこが食べたくなってくる。おしるこの小豆は、それなりに形をとどめたものが好きである。そういえば、この前お餅を電子レンジで温めてみたのだが、もの凄く膨らんだ。温めが終わると、急激にしぼんで布のようにな…

芸術 「Vtuber」はどのような表現なのか その2

yueninyuenin.hatenablog.com 1.Vtuberの多くは、作者と演者、どちらもこなす Vtuberの「中の人」の多くは作者と演者を兼任しています。作者としてキャラクターや世界観などの設定を考え、そしてこの設定を元に演者として演じます。 2.Vtuberの着ぐるみ化 い…

芸術 「Vtuber」はどのような表現なのか その1

備忘録。 1.素材の形式(物の形式) 芸術における素材というのは、ここでは生け花の「花」や、鉄で製作された彫刻の「鉄」や、色んな人柄を演じる落語家の「からだ」など、表現する際に扱われる現実の対象のことをいいます。形式とは、ここでは物(もの)や…

ミソジニーとは何か

呉座氏は、ベストセラー「応仁の乱」で知られる日本中世史が専門の歴史学者。NHKは23日、呉座氏が来年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証の担当を降板すると発表した。(河野通高) 引用:朝日新聞 呉座勇一氏はツイッター内で、文学者である北村紗衣氏…

一人称ってなんだろう?

話し手と話し手自身との関係を見てみる まずは「自分」に着目してみます。私たちが、一人称の「自分」や「私」というときは、話し手と話し手自身との関係を指し示しています。グレーゾーンは引用です。 一人称の表現の場合、見たところ対象となっている自分…

雑感 そもそも「結婚」とは何か。

結婚による関係の変化 親密な関係にあった両者が結婚をすると、突如としてその関係から夫婦関係に入る。親密な関係の延長線上に結婚があるのではなく、到達として結婚があるのだ。その上、結婚をすると相手の家族達と、これまた突如として身内関係に入る。突…

哲学 自己分析をすると、自己も分裂してしまうの?

自分を俯瞰的(ふかんてき)に分析するとき、「自分を分析している自分は一体誰なんだろう?」と、ふと疑問に思ったりしますよね。そのとき、本当に自分は分裂しているのでしょうか。 「私」が無限にさかのぼってしまうのか 「私」を俯瞰的に認識している「…

なぜ「正論」は忌避されるのか

日の沈む夕暮れ。ある二人が今日の夕食を決めかねている。一方のA氏は「サラダ巻き」といい、一方のB氏は「カツ丼」という。だが、意見が分かれた。そこでB氏は「子供がもうすぐ高校受験をひかえているから、願掛けのために『勝つ』丼のほうがよい。それに、…

音楽 打ち込みはどのような表現なのか

今回は、自分にとって馴染みのあるTR-909や8bit音源を材料に、打ち込みの表現性を考察していく。 TB-303とTR-909 TB-303はベースの代替的商品、つまりベースという「役割」の代わりとして販売された。使いにくさから普及はしなかったが、後年になって音色・…

哲学 自殺願望と希死念慮の違い

※本記事は自殺を推奨、奨励するものではない。また、心理学ではない。 自殺願望と希死念慮 狭義から少し外れてしまう定義であるが、自殺願望(死にたい欲望)は、将来のいつかに自殺することが前提とされている。希死念慮(消えたい欲望)は、肉体ひいては自…

常に女性を差別する国

この記事は2021年2月13日に書かれました。 日々めまぐるしく起こる様々な問題に、正直ほとんど追いつけていない自分がいる。逐一反応することができず、目で追うのがやっとだ。だけれども、気力が続く限り少しでも批判しておかないといけない。 (以下、時系…

ミソジニーとは何か

呉座氏は、ベストセラー「応仁の乱」で知られる日本中世史が専門の歴史学者。NHKは23日、呉座氏が来年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証の担当を降板すると発表した。(河野通高) 引用:朝日新聞 呉座勇一氏はツイッター内で、文学者である北村紗衣氏…

一人称ってなんだろう?

話し手と話し手自身との関係を見てみる まずは「自分」に着目してみます。私たちが、一人称の「自分」や「私」というときは、話し手と話し手自身との関係を指し示しています。グレーゾーンは引用です。 一人称の表現の場合、見たところ対象となっている自分…

正岡子規の「死後」とフィヒテの自我について その2

その1 次に、三浦氏はフォイエルバッハを引用する。 フォイエルバッハはこれに反対していう。「私がソクラテスやプラトンのことを考えなければ彼らは私にとって存在しない、ということから、彼らはかつて私なしに存在したことはなかった、ということにはなら…

正岡子規の「死後」とフィヒテの自我について その1

三浦つとむ著「文学・哲学・言語」を読んでいると、次のような内容があった。 対象を見るときに見る主体が必要だということは、死後の自分のありかたを見るときにも共通している。そこで想像に際しては現実の自分から観念的な自分が頭の中で分離して、この観…

「時間」について

過去と現在について 人は、現在にある「過去の痕跡」を過去のものとして、現在において扱う。 砂浜に足を踏みつけると足跡が残るが、これは過去の痕跡であり、それでいて現在の痕跡であるから、この足跡は対立物(過去と現在)が統一された形で表れている。 …

「作曲において、音楽理論は必要か?」論争は、なぜ不毛になるのか 【その1】

「特殊」を一般化すると不毛になりやすい 音楽理論を知らないで作曲している人も確かにいるし、もちろん、それでも良い曲を作る人はいる。これは特殊な場合だが、特殊を拡大して一般・普遍化すると、「理論を学んだ場合の作曲」と「そうでない場合の作曲」が…

アフターピルの市販薬化について

10月8日、ようやくアフターピル(緊急避妊薬)市販薬化の方針が発表された。まだ検討段階であるが、検討の段階に入った時点で一つの大きな進展なのは間違いない。この一報で「検討」の文字を見たとき、正直驚いた自分がいた。まだ確定はしていないが、ここま…

初学者におすすめの音楽理論書3

彦坂恭人 著 「コード&メロディで理解する 実践!やさしく学べるポピュラー対位法」2015年 複数の旋律を、それぞれ独立させながらも、それでいて調和するよう体系立った規則に沿って、組み合わせていく技法を対位法という。これだけでは何のことだかさっぱ…

初学者におすすめの音楽理論書2

清水響 著 「コード理論大全」2018年 勉強が苦手で嫌いな自分が言うのも恥ずかしいが、ある理論を暗記的に捉えるよりも、法則や連関等によっておのずと導かれる合理的な答えを探った方が、実りがあることが多い。暗記的勉強はある答えを一面的・固定的に捉え…

初学者におすすめの音楽理論書1

侘美秀俊 著「DTMによるオーケストレーション実践講座」2005年 管弦楽の理論関連の書籍は「難しい」「わかりにくい」というよりも、具体的にいえば「その理論・技法等がどのように実践されているのか、なんだか想像がつかない」だと思われる。 だが、この本…